「最近歩きにくそう、歩くのが遅くなった、数ヶ月前までは元気だったのに…」
そう感じる方が身近にいらっしゃったら、特発性正常圧水頭症(iNPH)を疑ってみてください。
iNPHは何らかの原因で頭蓋内に脳脊髄液が溜まり、脳が圧迫されて、歩行障害・認知症・尿失禁などの症状が出る病気です。しかしながら、脳脊髄液の流れを良くする治療により症状が改善するため「改善できる認知症」として注目されています。
iNPHの初期にもっとも現れやすい症状が歩行障害です。小股でよちよち歩く、少し足が開き気味で歩く、ひざが上がらずにすり足で歩く、不安定なので転倒することもあります。症状が進むと、物忘れ、ぼーっとしている、表情が乏しくなるなどの認知症が出て、トイレが近くなったり、尿意を我慢できなくなり尿失禁に至ることもあります。
これらの症状はいずれも加齢にともなう症状に似ているため、歳のせいだ、仕方がないと見逃されることも少なくありません。しかし、iNPHによる症状であれば、適切な治療で改善を得られ、ご本人の生活の質が上がるだけではなく、ご家族の介護負担の軽減にもつながります。
iNPHの早期発見のカギは身近な方の「最近様子がおかしい?」というちょっとした気づきです。もし身近な方に歩き方がおかしい・元気がないなどの違和感を覚えた時は、一度、iNPHを疑い、脳神経外科・脳神経内科を受診してみてください。