iNPHという病気〜治療できる歩行障害・認知症・尿失禁があります〜 診断と検査 髄液循環障害検査
iNPHの症状があり、画像診断にて脳室の拡大が認められると、この後は髄液循環障害の有無を検査します。

髄液循環障害の検査にはいくつかの方法がありますが、基本的には腰椎(腰骨)の間から過剰にたまっている脳脊髄液を少量排除して症状の改善具合を観察する髄液排除試験(髄液タップテスト)が簡便な検査方法といわれています。これは外来の診療室でできる安全な検査法です。この検査前の症状の程度と比べて、検査後の症状が一時的に改善すれば、手術(髄液シャント術)が有効であることが期待できます。現在では、この髄液タップテストがiNPHの診断に重要な検査となっています。

その他にも数日間、髄液を排除(持続髄液ドレナージ)したり髄液圧を測ったり、髄液流出抵抗測定(インフュージョンテスト)を行うことによって髄液シャント術の適応を補助的に調べることもあります。

髄液循環障害検査5つの方法

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.1髄液排除試験(髄液タップテスト)

髄液タップテストイメージ画像ここでは髄液タップテストについて説明します。比較的容易で診断の精度も高いといわれる腰椎穿刺髄液排除試験のひとつです。

iNPHは髄液循環障害によって脳室拡大と三徴候、歩行障害・認知症・尿失禁を来たします。ですので、腰椎レベルのクモ膜下腔に穿刺針を刺し、過剰に溜まっている脳脊髄液を少量排除することによりこれらの症状が改善するかを診断することができます。そして外科的治療(髄液シャント術)の必要性を調べます。これが髄液タップテストです。

髄液タップテストは、患者さんを横向きに寝かせて手でひざを抱える状態にします。腰椎(腰骨)の間から脊髄クモ膜下腔に穿刺針を刺します。
髄液圧を測ってから、一回の髄液タップテストで、30mlほどの脳脊髄液を排出させます。

一回の髄液タップテストで症状が一時的に改善することもあれば、複数回の髄液タップテストの後に症状が改善することもあります。
1日から長くとも3日程度の検査入院を必要とします。
症状の改善度合いについてはご家族の観察がとても重要です。症状の変化を注意深く観察しましょう。

.2髄液排除試験(持続髄液ドレナージ検査)

持続髄液ドレナージイメージ画像ここでは持続髄液ドレナージについて説明します。診断の精度も高いといわれる腰椎穿刺髄液排除試験のひとつです。iNPHは髄液循環障害によって脳室拡大と三徴候歩行障害・認知症・尿失禁を来たします。ですので、腰椎のクモ膜下腔に腰椎カテーテルチューブをつなげて過剰に溜まった脳脊髄液を持続的に体外に排出することによりこれらの症状が改善するかどうかを診断することができます。そして外科的治療(髄液シャント術)の必要性を調べます。これが持続髄液ドレナージ検査です。

髄液タップテストでは、排出する髄液の量も20〜50mlと限られ、いわば一時的に髄液シャント術の有効性を確認しますが、持続髄液ドレナージは3日間前後で持続的に髄液を排除するために、より髄液シャント術に近い状態を作り出します。しかしながら、検査中の管理が必要であり、検査入院期間も一週間前後になります。

ですので、髄液タップテストで症状の改善が得られなかった患者の精査のために持続髄液ドレナージ検査に進むことがあります。
持続髄液ドレナージ検査は、患者さんを横向きに寝かせて手でひざを抱える状態にします。腰椎(腰骨)の間から脊髄クモ膜下腔に穿刺針を刺します。髄液圧を測ってから、カテーテル挿入ガイドを使って髄液ドレナージカテーテルを腰椎クモ膜下腔に挿入します。

カテーテルと体外排出用の回路チューブ、排液貯留バッグを接続して一日に100〜150mlほどの脳脊髄液を持続的に排出させます。

.3腰部髄液圧測定

腰椎クモ膜下腔に挿入されたチューブを介して圧センサーを装着し、髄液圧を持続的に測る方法です。頭蓋内に圧センサーを挿入し、頭蓋内圧として計測することもあります(頭蓋内圧測定)。

以下のような髄液圧が測定された場合、髄液循環障害があると認め、髄液シャント術が有効であると予測することができます。

  • 髄液圧の基本圧が、8mmHg(水銀柱圧)前後と少々高めに測定された場合。
  • 髄液圧測定中の圧波形にB波と呼ばれる基本圧の急激な上昇を示す場合。
  • “脳の血管を広げて血流を増加させる薬”を投与した後に髄液圧が10mmHg(水銀柱圧)以上上昇する場合。

.4髄液流出抵抗測定検査(インフュージョンテスト)

髄液の吸収される度合いを測ることにより髄液循環障害の有無を確認する方法です。

患者さんを横向きに寝かせて、腰椎(腰骨)の間から脊髄クモ膜下腔に穿刺針を刺します。そこで生理的食塩水を注入し、頭蓋内圧(頭の中の圧力)の上昇を計測して元の頭蓋内圧に戻る時間により一定式から髄液流出抵抗値を導きます。

このインフュージョンテストによって髄液流出抵抗値が高い(髄液の吸収・流出が妨げられている状態)と認められた場合、髄液シャント術が有効であると予測することができます。

.5脳槽造影検査

CTスキャンイメージ画像この検査法は腰椎穿刺により腰椎クモ膜下腔に造影剤を注入して造影剤の脳室への逆流と停滞や脳表での停滞を診ます。

髄液の吸収を周期的に一定時間(3、6、24、48時間)後にCTスキャンして調べます。

この脳槽造影検査で患者さんが髄液シャント術に適応しているどうかを見極めるのには信頼性に欠けるとの報告もあります。

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