iNPHという病気〜治療できる歩行障害・認知症・尿失禁があります〜 治療について 治療後と回復

治療後と回復

イメージ画像特発性正常圧水頭症(以下、iNPH)は、髄液シャント術によって治療されます。

主な症状である歩行障害・軽度の認知症症状・排尿機能障害は髄液シャント術後数日で改善する場合もあれば、数週間、数ヶ月で改善することもあります。残念ながら改善の程度やどの症状が改善するかにおいても治療前に明らかに予測することはできません。
改善が見られる患者さんは、多くの場合髄液シャント術後の1週間で変化が見られます。さらに、この改善には軽度から劇的改善まであります。また、この改善がどの程度長続きするかを予測することは不可能です。症状の改善の理由が患者さんごとに違うからです。何不自由ない生活を取り戻す患者さんもいれば、残念なことに再び症状がぶり返す患者さんもいます。

しかしながら、細やかなバルブ圧の変更ができる圧可変式バルブシャントシステムは患者さんの症状・状態に合わせて微調節できるために、よい状態を比較的長い時間にわたって維持する可能性と合併症を回避できる可能性があります。髄液シャント術後に一旦、症状の改善が得られた場合でもその後時間がたつにつれて元の状態に戻ってしまった場合は検診が必要です。そこで、圧可変式バルブは直ぐに適正な圧設定を行うことによって再度症状の改善できる可能性があります。

髄液シャント術による三徴候の改善率

歩行障害の改善⇒約90%
認知症症状の改善⇒約80%
尿失禁の改善⇒約80%

このように、歩行障害が高い確率で改善するようです。幸いにも、歩行障害が改善したことによって尿失禁も併せて改善傾向を示します。それは、実際の生活の上で、自力移動がスムーズになるために、トイレに間に合うためです。また、歩行障害の改善は、長期的に認知症症状の改善にも役に立つことが知られています。歩くことによって、周囲から多くの刺激が脳に伝わり、脳リハビリの役目を持つからです。これらの症状の改善は、患者さん自身の自立とご家族の介護度の軽減につながると考えられます。
一般に、シャントシステムを埋め込んだ患者さんは、激しい運動を除いて日常の活動に制限はありません。ただし、歩行は改善して速く歩けるようになっても不安定性は残っていることもありますので見守りが必要な場合もあります。医師は注意すべき禁止事項を患者さんと話し合います。

iNPHはゆっくりと進行することがあるため、術後においても患者は医師のフォローアップ・ケアーを必要とします。また、埋め込まれたシャントシステムが詰まったり、圧可変式バルブの設定圧が変わったりすることもあるために、医師が勧める間隔で定期的に健診を受けることが賢明です。脳神経外科医は患者さんの症状の悪化やシャントシステムの異常を示す微妙な変化に気付きます。

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